企業の経営状態を知るにはどうすればいいか。公認会計士の川口宏之氏は「キャッシュ・フロー計算書に目を通せば、会社の状態を把握できる。ポイントは営業・投資・財務それぞれのキャッシュ・フローのバランスだ」という――。

※本稿は、川口宏之『有価証券報告書で読み解く 決算書の「超」速読術』(かんき出版)の一部を再編集したものです。

損益計算書とキャッシュ・フロー計算書の違いとは何か

企業の経営実態を把握するためには、決算書を読み解くことが有効です。現在は上場企業であれば、ウェブサイトに公開された決算書を無料で手に入れることができます。

タブレットとラップトップコンピュータのノートブック上の投資収益率または投資リスク分析に関する財務報告書を確認するビジネスマン
写真=iStock.com/ktasimarr
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決算書の種類は下記の3つです。

・貸借対照表(B/S)
・損益計算書(P/L)
・キャッシュ・フロー計算書(C/F)

簡単に言えば、貸借対照表は「お金の調達と運用のバランスを見るためのもの」であり、損益計算書は「一定期間中における収益と費用の関係を見るためのもの」、キャッシュ・フロー計算書は「お金の流れが健全かどうかを把握するためのもの」と考えていただければいいでしょう。

別な言い方をすれば、貸借対照表は企業活動をストック面から、損益計算書とキャッシュ・フロー計算書は、フロー面から見るためのものでもあります。

今回は、キャッシュ・フロー計算書に注目して読み解いてみましょう。